デオキシ・クッキングは『調理の根本、常識』を変えてしまう方法で出来あがる料理も常識を大きく超えます。この調理システムは煮る、焼く、揚げる、炊くなどのほとんどの調理が可能です。・煮る調理法で『煮豚』
ごく普通の主婦がごく普通の豚肉で作っても間違いなく大変美味しいものが出来ます。トップレベルの料理人がこれを食べると『この味わいは大変上質な豚に間違いないが、自分にはここまで美味しい煮豚は作れない』という反応となります。これは決して誇張ではなく、これまでに何度もあった事実なのです。だから一度デオキシ・クッキングを使うと、同じ料理については二度と今までの調理法を使うことはなくなります。その差があまりに大きいからです。上記の煮豚でも調理作業はほぼ5分、後は鍋の湯の温度を見ているだけで出来上がります。
・揚げる調理法でトンカツ
『素晴らしい』と絶賛されるような豚のトンカツも普通に衣をつけてデオキシ・クッキングのシステムで揚げるだけで出来上がります。揚げ物につきものの油の染み込みや揚げ過ぎの心配は全く無いので素人にも簡単なのです。
・焼く調理法でローストビーフ
冷たいままの肉に塩コショーして転がして焼くだけで20〜30分で見事な焼き上がりとなってしまうのです。しかもオーブンではローストビーフには出来ない肩ロースなどでもデオキシ・クッキングなら大変高い質のローストビーフが出来てしまうのです。(表紙写真参照)
『旨いフグを食べて死ぬなら本望だ』とばかりに素人料理でフグの肝等を食べる人がいます。そしてその結果フグ中毒になる人は平均して年間約80人,そのうち約20人が死亡しています。
こうしたことは極端な例とはいうものの、人間には誰でも美味しいものへの強い欲望があります。しかしこれは人間的というより本能的なレベルといえます。
その上のレベルが『美味しいものを一緒に食べてその感激を共有する喜び』、『自分が作った料理を人が美味しいと感謝してくれる喜び』など人と人の間に『美味しい料理』があって、それで心が通じ合う喜びというものが存在します。
このあたりのレベルがやっと『人間らしい食の喜び』と言えるのではないでしょうか?
料理が仮に単なる『オムスビ』であっても、汗をかいて一緒に山登りをした頂上で食べる時には『美味しさの共有』が出来、幸せな一時が過ごせます。しかしこの『心が通じ合う喜び』を料理だけで得ようとする時は大変に美味しい料理が必要です。
しかし現代は不幸にして食の環境はますます悪化し、『美味しさに心が通じ合う喜び』を得にくい状況になりつつあります。
・家族一緒に食事をとる機会の減少
・自然環境の破壊と食糧資源の減少
・遺伝子操作等バイオ技術による食材への悪影響
・世界的人口爆発及び肉食化による世界的食料難
・食品産業(加工食品、外食、中食等)への不信感
・高齢者人口の増加
・各個人の食のノウハウの低下(全体の調理技術の低下)
例えば家族に高齢者がいる時、夕食を天ぷらにしようと思っても、高齢者用のメニューが別・・・というのでは『食を共有する』ことは難しくなります。これは家庭料理でも外食でも同様です。ここに『高齢者が食べても身体の負担にならずに美味しく沢山食べられる天ぷら』があったら全く事態は変わります。
また時間がなければちゃんとした料理は作りにくいものですし、食べる家族が揃うことが少なければ作るチャンスも減って来ます。来客があっても時間と予算の関係で店屋物ですませることが多くなればもてなし料理を作る事もなくなります。
だから調理技術は低下していくことになるのです。すると娘の誕生日だから腕によりをかけて・・・というより『レストランに行こう』ということになってしまいます。
更に質の良い食材が手に入らなければなかなか美味しい料理は作りにくいものですし、料理の腕がなければ尚更です。
だからこそ外食への依存度は高くなっているはずなのですが、同時に外食への満足度は減少しているのです。例えば貴方が80才、ひとり住まいの裕福な生活者だとしましょう。食事はどうしたらいいでしょう?『美味しい』ということを前提とすると、
・自分で作るのには買物や調理が手間。
・ラーメン、蕎麦などの店屋物では満足出来ない。
・外食するには出かける必要があり、更にフレンチレストランや 天ぷら屋では胃腸が耐えられない。
・寿司屋ではナマモノなのでやはり消化がきつい。
・更に体調を崩して入院すると病院食は耐え難い。
ということになってしまいます。身体の自由があまり利かず、昔よくやったゴルフにも行けなくなると楽しみの中での『食』の比重はずっと高くなって来ます。しかし今度はその『食』が身体には負担が大きくやはり楽しめない・・・となってしまうのではないでしょうか?
しかし『デオキシ・クッキング』はそうした環境を跳ね返すことが出来る
『強力な武器』となるものです。
かなり安い材料でも、時間が無い中でも、普通なら難しい料理でも、簡単にしかも大変美味しく調理出来る方法なのです。加えて高齢者など身体の弱った人にも負担にならない優しい料理で、しかも栄養をたっぷり残すので健康にも大変に良い料理が出来るのです。そして誰にでも簡単に出来る割にあまりにも美味しい料理になるので、最初は作った本人も御馳走になった人も驚くばかりという結果となるのです。
『デオキシ・クッキング』は四半世紀にわたって私が食品の加工、調理の研究をしてきた結果の集大成とも言えるものです。
その研究は味付けの仕方やスパイスの使い方といった最終段階のものではなく、食材の本質的な良さをどのように引き出すかといった言わば基礎的調理法の研究でした。
ここ15年は『酸化を如何に防止するか?』が研究テーマとして絞られてきていました。例えばにんにく、たまねぎといった野菜でさえ酸化させないように工夫することで『抗酸化作用』を高めると調理レベルが大幅に上がります。(ちなみにスパイスのほとんどは実は抗酸化作用を持ち、それが故に料理を美味しくするのです)
そんな中で『蜂蜜』に坑酸化作用があることが分かり、研究を進めて行った所、一定の条件下では何と『還元作用』が強いことを発見出来たのです。そしてその強い還元作用の活用範囲の広さに驚いていたものです。その力の応用を研究していくうちにストックバッククッキングという調理法が生まれました。
それから数年して今度は白炭の強い還元作用を発見することが出来ました。備長炭(白炭)は古くから良く知られた物ですが、ある特定の温度帯でのみ酸化還元作用が強力となるのです。
こうした発見から煮る、焼く、揚げる、炊くといった広い範囲の調理が可能となり、その総称をデオキシ・クッキングと名付けました。
『誰にでも簡単に非常に高いレベルの料理が出来る』というのがデオキシ・クッキングなのですが、では誰がやっても同じ結果なのかと言えば違います。デオキシ・クッキングでも初級から上級まで広い奥行きがあるのです。しかし初級でも従来の調理法による上級レベル以上なので『誰でも簡単に非常に美味しい・・・』となるのです。
そして初級以上は従来の食への知識の半分が活用出来、更にデオキシ・クッキング独特の様々なノウハウを活用すれば大きな差が出て、とんでもない味わいの世界が生まれるのです。
進歩というものは最初は何が何だか分からないのが普通です。
理解出来ないから否定するというのも後ろ向きでしかありません。これまでも最初は『有り得ない!!』と思ったことが進歩によって現実のことになってきたことを思い出して欲しいのです。
この本にあるレシピーを試し、『味』を通して理解が進むきっかけとなることを期待しています。
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